あなたが持っているのは内定?内々定?就活生が不安になりがちな内定と内々定の法的な意味を解説します!

2017.3.30 公開

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就活生が意外と理解していない、「内定」と「内々定」について解説しています。内定と内々定の本当の意味を理解して、就活を安心してすすめましょう。

内定取り消しって実際にあるの?
内々定は取り消しの可能性がある?
内定を辞退したら損害賠償を請求されるって本当?

このような悩みや不安を抱えている就活生は意外と多いのではないでしょうか。
実は、法律の解釈などをしっかりとみていくと、内定と内々定には大きな違いがあるのです。

その違いによって取りうるリスクも違いますし、企業への対応も変わってきます。
ぜひこの際に内定と内々定を明確に理解して、就活を安心して進めましょう。

内定とは?

まず、内定とは、「企業と学生が雇用契約(労働契約)を合意の上で結んだ状態」のことを言います。
特に、雇用契約は文書上で行われるものですので、内定は内定承諾書にハンコを押した時点だと想像してもらって構いません。

そして、雇用契約書は企業と学生の相互の同意に基づいてされるものです。
また、雇用契約書は誓約書とは違いますので、法的拘束力が付きます。

また、日本経団連は内定について以下のことを定めています。

「日本経団連:採用選考に関する指針 2015年12月7日改定」より抜粋
・学生の自由な就職活動を妨げる行為(誓約書を書かせるなど)は一切しない
・広報活動:卒業・修了年度に入る直前の3月1に以降
・選考活動:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な内定日は、卒業・修了年度の10月1日以降とする
そのため、<強調>正確には内定は10月1日に出るものなのです。

しかし、ベンチャー企業などの日本経団連に方針に従っていない企業はこの限りではありません。
いつでも学生と雇用契約を結んで内定を出すことができます。

そのため、内定が法的に決定する瞬間 を一概に言うと、雇用契約書にハンコを押した時点だということになります。

次に、内定の状態だとどんな状況が起きうるのかということを、就活生が疑問に持ちやすい2つの点から解説していきます。

内定は辞退できる?

結論から言うと、内定を辞退すること可能です。
なぜなら、内定の段階で行う雇用契約とは「始期付解約権留保付の契約」と言われているからです。

簡単に言うと、雇用契約が始まるまでなら、企業側も学生側も雇用契約を解除することができると定めたものです。
すなはち、学生側はいつでも内定承諾の時に結んだ雇用契約を解約することができるのです。

これは民法627条によって明確に定められています。

民法より抜粋
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条  当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2. 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3. 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

ただし、「解約の申し入れの日から二週間を経過することによって終了する」という文面がありますので、雇用契約の効果が発動する入社日の2週間前には内定辞退を通達しなければなりません。

また、内定を辞退した際の損害賠償を請求されることもありません。
このこともまた法律で明確に定められています。

労働基準法より抜粋
(賠償予定の禁止)
第十六条  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

法律の立場として企業より個人を守るという方針がありますので、労働基準法16条によって、企業側から労働者への損害賠償請求が禁止されています。

まとめ

入社日の2週間前までなら内定は辞退できる
内定を辞退したとしても損害賠償を請求されることはない

内定が取り消される場合

次に、内定が取り消される場合について解説します。
実際に企業により内定が取り消されるケースはあります。
このことは民法628条により認められています。

民法より抜粋
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条  当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

ただ、内定取り消しが「やむを得ない事由」によるものであることが条件として定められています。

「やむを得ない事由」として認められる可能性が高いケースを以下に挙げます。

・大学が卒業できなかった
・内定後の事情として、内定者の受け入れが経営を圧迫する場合
・経歴や学歴の重要部分に嘘があった場合
・内定者が内定後に病気や怪我をしたことで正常な勤務ができなくなった場合
・重大な罪を犯した場合

最近ではSNS関係でも内定が取り消された事例があるようです。
内定を取れたからと言って安心をせず、社会人としての一歩を進み始めたのだという認識をもって行動することが重要です。

しかし、企業による内定取り消しの理由が「やむを得ない事由」に相当しない場合、学生が自ら損害賠償を請求できる権利や内定取り消しの無効を求める権利が保障されています。
実際、学生による損害賠償請求が認められたケースがいくつかあります。
そのため、実際に皆さんが内定を不当な理由で取り消された場合は、内定取り消しの撤回を求めたり、企業側に損害賠償請求をすることができます。

ケース①:学生による損害賠償請求が認められた

コーセーアールイー事件・福岡地裁平成22年6月2日判決
・内定通知書授与日の2日前に会社一方的に内々定を取り消したケース。
→慰謝料85万円が認められた。

ケース②:内定取り消しが無効

大日本印刷事件(民集33巻5号582頁)
・内定者の印象の暗さを理由に入社予定日の2か月前に採用内定の取り消し
→内定取り消し無効

ケース③:内定取り消しを撤回し、双方の和解

・日本テレビのアナウンサーが水商売のアルバイトをしていたケース
→双方の和解

内々定とは?

内々定とは、「企業が採用予定であることを候補者に伝えた状態」です。
口頭であれ、メールであれ、企業側が採用予定である旨を伝えれば、内々定となります。

日本経団連の方針に従っている企業であれば、10月1日以前にもらった内定通知は全て内々定となります。
ハンコを押す場面があっても、誓約書である場合がほとんどです。

一方、ベンチャー企業など日本経団連の方針に従わない企業であればこの限りではありません。
内定の時と同様に、内定通知をもらってから雇用契約を書面で結ぶまでの間が内々定となります。

内々定は法的な雇用契約を結んでいないので、企業側も学生側にも契約解除の権利が認められています。
内々定は口約束にすぎないので、法的拘束力はありません。
つまり、企業が内々定の取り消しを行う可能性は十分にあり得るということです。

内々定を辞退する場合のリスク

内々定を辞退する際のリスクは、内定の場合以上に全くありません。
まして、内定の場合は入社日の2週間前までに辞退を通達しなければなりませんが、内々定の場合はいつでも契約の解除が可能です。
なぜなら、正式な雇用契約を結んでおらず、必ず内定先の企業に入社しなければならないわけではないからです。

内々定辞退を企業に連絡する際、どんなに法的リスクの存在をほのめかされても毅然とした態度で対応しても構いません。
むしろ、法的リスクをほのめかされ場合は企業側の脅迫に当たる可能性があります。

一方で、企業は多額の採用費と時間をかけてみなさんに内定を出しているので、失礼な態度で話すことはご法度です。
謝罪の意をしっかりと説明した上で、内々定辞退を伝えましょう。

内々定が取り消された場合

先ほども述べたように、内々定は基本的に取り消されても、対抗することができない可能性があります。

しかし、内々定であっても、裁判によって学生の損害賠償請求が認められたケースも実際に存在します(→前出のケース①)。
そのため、内々定が出た時点で企業がその取り消しを行う可能性は現実的に少ないと言えます。

実際に裁判になった時、正式な契約が交わされているか否かは、結果に大きな違いをもたらす可能性があります。
そのため、油断をしないに越したことはありません。

内定と内々定の違い

それでは内定と内々定の間にどういう違いがあるのかをまとめます。
一言で、「雇用契約を正式に結んでいるかどうか」ということにあります。

そのため、法的拘束力の有無が異なります。
法律上、内定には法的拘束力がありますが、内々定は法的拘束力がありません
先ほども述べたように、判例によっては例外もあります。

すなはち、内々定であっても一方的な理由による不当な内々定の取り消しは企業に対して対抗できるということです。

不安になったら相談する

いかがだったでしょうか。
法律の話も入っていますので、理解が難しい部分もあるとは思いますが、理解しておいて損はないことです。

しかし、それでも不安になったら大学のキャリアセンターなどに相談することをお薦めします。
内定と内々定は非常にシビアな問題ですので、一人で抱え込もうとするとうまくいかなくなってしまうことが多いでしょう。
1人で悩まず、外部に相談することで必ず道は開けるはずです。

以下にこの記事のまとめを挙げていますのでぜひ参考にしてください。
内定と内々定の意味の違いを正しく理解し、就活を安心して進めましょう。

まとめ

・内定は正式な雇用契約を結んだ時点から。
・内定は学生からの辞退はできるが、取り消しはできない。
・内定辞退をするなら入社日の2週間前までに申し出る。
・内々定は採用予定の口約束で、正式な雇用契約ではない。
・内々定は辞退も取り消しもできる。
・内々定を辞退するときは時期を気にする必要はない

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転職エージェント研究所の所長。転職のことなら何でも知ってる。おせっかい。

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